第9次訪問団:活動内容報告書

第9次ブータン訪問団報告書

私たちは,ブータンに8月26日(日)から9月1日(土)の7日間滞在した.その7日間でハ,プナカ,ティンプーなどの都市を周った.ブータンの国土面積は,日本の九州と同じぐらいの大きさであるが,ヒマラヤ山脈に位置するため国土の大半が山であり,道路のほとんどが山道である.そのため,富士山よりも高い約4000mの峠を越えたり,その峠でティンプーから来たモンク(僧)と一緒に写真を撮ったりなどの良い経験ができた.

私は,交通工学を学んでおり,信号のない国ブータンの交通事情に興味を持っていたため,現在のブータンの交通事情に関して詳述する.

ブータンの都市の間にはいくつもの山が存在するため,都市間交通として電車を走らせるのは厳しい.そのため,ブータンの人々の主な交通手段は,自動車となる.首都であるティンプー周辺の道路は,片側1車線でしっかりと舗装され,交通整備が整っている.しかし,都市間を結ぶ道はほとんどが曲がりくねった山道であり,道幅も1.5車線と言われるほど狭いため,対向車とすれ違う際は道幅いっぱいですれ違うので,車窓下の景色が崖となることも少なくなかった.そして,その道も崖崩れにより道が欠けていたり,隆起してデコボコであったりと,交通整備が整っていないため,徐行運転をしてそれらの道を走ることが何度もあった.このような環境のため,唯一の移動手段である自動車の移動でも,都市間の移動には時間がかかってしまうのである.

また,ティンプー周辺の幹線道路では歩車分離されている道が多く見られたが,その他の道では歩車分離されている道はほとんどなく,歩車共存の道となっている.また,ブータンは信号もないため,歩行者とドライバー,ドライバーとドライバーでコミュニケーションをとり,お互いが譲り合い,交通が成り立っている.この交通のあり方に人間関係やコミュニケーションを大事にしている国であるブータンらしさを感じた.ブータンだからこそ,信号機などの機械やコンピュータを介さずに,人やドライバー主体のコミュニケーションを土台にした交通マネジメントが成り立つのだと考えられる.

しかし,道路利用者は,人,車だけではない.動物の牛や犬も“利用者”なのである.牛や犬が道路を歩行していることや,道路で寝ていることが幾度もあった.その際,ドライバーは無理に進むのではなく,クラクションを鳴らして牛や犬が道路の隅に移動するのをゆっくりと待つのである.牛や犬も意味がわかるのか,ただ音に反応しただけなのかはわからないが,速やかに移動してくれるのである.動物を大事にしているブータンらしさが感じられた.

世界一幸せな国と言われているブータンが,今後GNH政策を基本とした発展を遂げていけることを願い,今後の動向を注目していきたい.

京都大学大学院工学研究科 修士課程1年 馬場悠介